2015年3月16日月曜日

嵐の中でも平然と


「のんびりと、羊のおばさん」

自然の中でたくましく生きる


イギリスの田舎に行くと、どこにでもいる羊は
近寄ると、こうしてこちらをじっと見つめるのだけれど
私が違う方向へ歩き出すと、また 草を食べ始める

いつもいつも食べている!

そういえば、私の友達が面白いことを言っていた

「野菜だからって、沢山食べたら太るのよ
だから、ダイエットする時は、
なんでもとにかく少量!少量の食事よ!
牛をみて、食べるのは草だけなのに、ずっと食べているから
あんなに太っているでしょ!」

そうよねー、確かに…
野菜だからって、安心して沢山食べちゃいけないのね… 



この絵を見て、思ったことは
そんなダイエットのことの他に 
もう一つあるのです。



それは、私が羊に憧れている 
自然の中で生きることが出来る強さのこと 

先日もスコットランドの オドロオドロしい荒野の中で、嵐の中で 
何食わぬ顔して草を食べ続けている羊をみて、思いました。

大自然の中で 何が起こっていても、我関せずという、あの強さが
たまらなくうらやましい、あの強さが私も欲しい … 

快適な生活を手に入れてしまった時
自然の中で生きる力を失ってしまった私 

雨に濡れるのも嫌だし、冷たい風も嫌、
夏になれば、暑すぎるのも、臭い匂いも耐えられない
そして、なによりもなによりも 嫌いな 蚊!


大嵐の中でも平気で草を食べて毎日を過ごしている 羊を見る度に

あんな強さが 私にもあればいいのに… 
と、そんなことを思ってしまいます。


すると、 
私のことをさっきから ジッと見ていたら一頭の羊が
近寄って来て、言いました。

そんなに快適な都会の生活があるのだったら
それを味わいたいわ
それにあなたもこの生活に憧れているのでしょ?
だったら、私達ちょっと生活を 交換しましょうよ! 」 

こうして、私は羊のおばさんと入れ替わることになりました。


羊の姿になって大自然の中に放りこまれた私は
平然と山々を歩き回りました。
お腹が空いたらいくらでもある草をむしゃむしゃと食べて
朝から日が沈むまで、何を考えるでもなく自由に暮らします。  
人魚のいるビーチへ行って、人魚とお喋りすることだって、出来るのです! 
雨がふっても 風が強くても雪が降っても、氷が降っても、暑くなっても
虫が来ても 何があっても
もう気にしない! 私は自然と一体になったのです!
そういう力を手に入れたのです!


一方人間の姿になって都会での快適な生活を始めた羊のおばさんは

あの広い広い荒野から 
 色々な家具があって邪魔でしょうがない ギューギュー詰めの
小さな 小さなスペースに引っ越してきて 
歩き回ることも、走ることもあまり出来なくなってしまった
ことにまず相当驚いてしまいました。
それから いくらでもある草を自由に食べていたのに ここでは、 
お金を出さなければ
何も食べるものを手に入れることが出来ないってどういうこと?
小さな部屋の中では 風を感じることが出来ない し
あの気持ちの良い雨の代わりがこの 小さなシャワー?

 一体、何が快適な生活なの!大嘘つきのコンコンチキ!」 
と、怒り出してしまいました!




… なんて、また変なことをボーッと 考えていた私は
急な崖の上から平然と私を見おろしている 羊のおばさんに気がつき
記念に一枚写真を撮りました。  

あっ、急がないと、山の向こうから黒い雲がこっちに向かっている!
雨が降らないうちに車に戻らなきゃっ!

羊のおばさんは、もう少し上 まで登ると そこでまた草をむしゃむしゃと
食べ始めました。

私が車に着く前に空は、恐ろしげな黒い雲に覆われて
雨は降り出し風も出てきて…
また嵐が来るそうです。

羊のおばさんは、その中で相変わらず平気な顔して
草を食べ続けているのでした。